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灰を使った釉薬の発泡について

釉薬の発泡について 教えてください

質問内容

笠間土に松灰と長石を合わせた釉薬を施釉し、1240℃で還元焼成しました。
適度に釉薬が流れ、予想以上に良い色になったのですが、ところどころ発泡したのが残念でなりません。予想される原因と対処法を教えてください。

素地は、笠間土の単味です
釉薬のあわせは長石6:松灰4~5程度だったと思います(少し曖昧です)
焼成は電気窯で行いました。
950℃からバーナーを使い還元開始。
1050℃を30分程キープ、その後1210℃まで還元。
1210℃でバーナーをとめ、1240℃でねらし20分程です。

小さい発泡なのではっきりと確認できないかもしれませんが写真を送ります。

答え

さて、灰釉のことですが、土岐市の下石工業組合が、自然灰を販売していて、ホームページに少しは参考になることが書いてあります。(化学分析は当所が行いました。)
http://www.kamamoto.jp/modules/bulletin2/
です。

ここには、焼き締まりの弱い素地に灰釉は向くと書いてあります。また、焼き締まる土に厚く釉を塗ると発泡するとも書いてあります。

添付された写真では、どんな発泡か見えませんし、前提条件を詳しく書いてないので、一般論になります。

ところでピンホールと発泡と区別がつきますか?
発泡は、クレーターみたいな泡の後で、ピンホールは、ゴムを針でつついた時のへこみに似た小さな窪みです。

灰釉の場合の発泡現象は、灰の成分である灰汁(あく)のせいだと思います。灰は、可溶性のアルカリ成分を沢山含んでいます。カリウムです。

分析すると、生の灰の中に、14%くらい入っています。良く水簸(水洗い)すると、アルカリが抜けて、3%くらいになります。

ところで、この可溶性のカリ成分は、水に溶けて、素地の中に染みこみます。そして乾燥の時に、素地から釉層を通過して表面に出てきます。水は蒸発するけど、カリは、結晶となって、釉の最表面に、いっぱい析出します。

そして、焼成時に、強力な媒熔剤であるカリは、部分的に、釉薬を過剰に融かします。いわゆる「煮える」という状態になってしまうと思われます。

ぶくぶくと泡を出してクレーターになります。

灰は、基本的に、水洗いをして、灰汁を抜いておく必要があります。
10回以上、上水を捨てて、かき混ぜてを繰り返します。結構日にちが掛かります。
充分灰汁が抜けた灰は、ぬるぬるしません。アルカリ性はぬるぬるします。pH試験紙で、少なくとも9以下にしなければいけません。それをしましたか?

温度を高くするか、保持時間を長くとる方法も有効かもしれません。釉薬が素地を融かして組成が変わり、釉薬の粘性を上げます。ねちょーとなって、簡単には泡が破裂しなくなります。(釉薬は流れ落ちてしまうかもしれませんが・・・)カオリン成分を少し入れてやると粘性は上がります。陶石を混ぜる方が、便利かもしれません。ただし、釉は、ぎらぎら釉が、しっとり釉の方向になります。

長石は、何をお使いでしょう。釜戸長石、とインド長石では、同じ長石でも、かなり違いがあります。灰の場合は、前者の方が良いですが・・・(珪石分を結構含んでいるので)また、合わせたとありますが、ポットミルで粉砕しましたか?ただバケツで混ぜただけだと、軽い灰は水中で浮き気味で、石で比較的大きな粒子の長石は沈みがちです。塗りムラはなかったでしょうか?

ピンホールであると、素焼きの後の粉を拭き取らなかった場合とか、石膏粉の混入が考えられます。

灰釉は、意外性があって面白いかもしれませんが、一筋縄でいかないところがあります。予備試験(調合試験)をやると、全体像が見えて来ます。一発勝負では、なかなか難しい所があります。ご健闘をお祈りします。

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