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引き出し黒について教えてください。

難しい質問です。

私は、陶芸家でもなく考古学者でもなく、工学部(無機分析専門)出身者
ですので、お答えになるかどうか・・・。たまたま、分析を依頼され
発表したのであって通常、古陶器の研究をしているわけではありません。

陶芸家佐々木次郎氏に電話で聞いた範囲でお答えします。

質問1.色見用としての引出し黒の水冷は、引き出してから釉薬の溶け
具合をみるまでの時間短縮が目的だったと思いますが、その他に、水冷を
しなければ得られない事があったのでしょうか。

昔は、茶碗を重ね焼きしたそうです。水に入れると、入れたとたん、
スムーズに一個一個が分離できる利点があるそうです。空冷した場合では、
噛んでしまって、はがしにくいということです。
空冷にしたって、1000度以上の温度から外気に触れるので、急冷であることは
間違いありません。
黒を黒くするためには、急冷が良いようです。

質問2.引出して水冷した黒と、放置したままの黒との違いは何ですか。
(外観、釉薬の状態、ボデイの状態等)

私は、ガラス化が急冷に因ってより早く行われるとういう原理から考えて、
水冷の場合の方が黒と艶が良いだろうと思っていましたが、佐々木氏に
聞くと、あまり変わらないらしい。それは調合の違いの方が大きいと
言ってました。長石リッチか石灰リッチかにより、ヒビの状況や、艶も
違ってくるらしい。もちろん、水冷にした方が、ヒビはより多い。

水冷の方が、割れる危険性が大きい(当たり前と言えば当たり前)ので、
水冷した(昔の人が水冷したとするなら)意味が本人(佐々木氏)にも良く
判らないと言ってました。また、水に入れるタイミングもあるようで、
すぐに入れずに、少し空冷してから入れるとか、テクニックがあるようです。
ところで本当に、昔の人は、色見以外で、作品を水冷にしたのでしょうか?

質問3.水冷(急冷)してカンニュウができたり、割れたりはしないので
しょうか。

割れる事は当然あるらしい。お茶の先生が、お湯を入れたとたんに割れて
しまったとか・・・。理屈からいうなら、カンニュウができるのは当たり前
ではないですか?

かんにゅうがない、引き出し黒ってあるのでしょうか?

引き出した製品は、ボディーががさがさで気泡だらけであるので、亀裂が進展
せず、全体として形を保っているにすぎず、その打音からもわかるように、
基本的に内部は割れている思った方がよいのかもしれません。

質問4.表面の艶有りと無しは、シリカとアルミナの比率だけの問題ですか。

化学的にはYESです。ただ、前述のようにガラスは、急冷した方ができやすく
徐冷すると、結晶が析出し易くはなります(調合にもよりますが)。また、
釉層が薄いと、素地の成分も釉に入ってくるので、調子が変わってきます。
焼き方の問題も当然ありあます。

質問5.陶器全般について、焼き絞まるとはどうゆう状態のことですか。

素地は、結晶構造を持つ鉱物から作られます。焼くとガラス(結晶構造を持た
ない無定型物質)ができます。陶磁器の場合、全部がガラスになる事はありま
せん。
全部がガラスになったら、形が崩れてしまいます。

ムライト、石英等の結晶が析出し、あるいは残存し、ガラスがその間を埋めます。
ガラスは液状となり、気泡をつぶし、粒子同士を強固に固めます。
磁器では、半分くらい、陶器では、それよりかなり少ない量がガラスとなります。
ガラスが多くなると、透光性が増えます。磁器はその例です。陶器は、結晶鉱物
が多いので光りが通りません。

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