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陶磁器の熱伝導について

質問:陶器は、熱しにくく冷めにくい(熱伝導率が低い)。
磁器は、熱しやすく冷めやすい(熱伝導率が高い)。

として、解説されているのですが、これは正しいのでしょうか?

答え)間違ではないと思います。

質問:
化学便覧・理科年表、機械実用便覧の資料では、
陶器の熱伝導率:1.0~1.6[W/(mK)](日本機械学会「機械実用便覧」)
磁器の熱伝導率:1.5[W/(mK)](化学便覧・理科年表)とありまして、この限りでは、陶器と磁器では、大差がないことになります。

答え)磁器の熱伝導率1.5は、空孔率0.25%のものとして記載してありました。
陶器の場合は、2~12%程度の空孔率があり、正確なデータを記載しにくいのだと思います。

ちなみに、耐火煉瓦は0.2、建築用煉瓦0.73、粘土(乾燥物)空孔率15%は、0.43、(その他、窓ガラス1.3、木材(松)0.14、鉄80、銅400、水0.6ぐらい、空気0.02くらいです。)

煉瓦や粘土は、組成元素的には、陶器とそれほどかわりません。従って、内在する気孔が多ければ多い程、熱伝導率は小さくなります。実際の所、5%程度の空孔を持った陶器は、1以下であると想像します。少なくとも磁器より大きくなるとは思われません。
従って、「熱伝導率が陶器は低くて、磁器は高い」は正解と言えます。

質問:
多分、一般に、磁器は「薄手」で、熱の伝わりも早く、そのため、温まりやすく、冷めやすい、一方、陶器は、一般に「厚手」なので、熱の伝わりに時間が掛かり・・、

答え)上記、これも正解です。

質問:
このようなことと、熱伝導率を取り違えたのではと思ったのですが、

答え)取り違えたかどうかはしりませんが・・・両方正解であっても、不思議ではありません。

質問:
この「ためしてガッテン」では、更に、
「磁器と陶器の熱伝導、熱衝撃の差は材質の多孔性の差が原因」
と解説されており、このような勘違い・取り違えではなさそうなのです。

答え)材質の多孔性の差が原因です。これも間違いではありません。
断熱材は、気孔が多い事が特徴です。陶器は、磁器より断熱材と言えます。
上記したように、空気の熱伝導率は0.02です。空気が焼き物材料の中に、多く含まれれば熱伝導率は下がるに決まっています。

磁器と陶器の熱伝導率の差は、ほとんど、気孔率の差とも言えるかもしれません。

薄い厚いの問題理解には、熱容量の概念が必要です。比熱×質量=熱容量です。

比熱とは、単位重量物を1度温度上昇させるための熱量です。熱容量の大きい、つまり、重い物ほど暖めるために熱(時間)がかかります。さめるのも時間がかかります。

実際的には、直火で、同じ重さの陶器と磁器を暖めた場合、前者の方が、時間がかかると思います。断熱材に炎をあてても、他に熱が逃げますから。・・

陶器は、熱しにくく冷めにくい
は間違ってはいないのです。

参考)陶器と磁器の真密度は同じです。気孔があるために、陶器は、比重1.8~2、磁器は2.3くらいになります。つまり、同じ重さでも、陶器の方が、分厚くなるのです。

とまどいの原因は、器自体を暖める・さますの問題なのか、器の中に熱い熱湯を入れて、それを持った時に、熱く感じるかどうかの問題の区別を明確にすることです。

陶器の場合は、磁器より持った時に熱く感じません。(それは実感として誰でも感じる事ができます。)それは、熱伝導率がより小さい事と、厚い陶器の壁を内から外へ向かって伝わってくる距離が長い事が原因である事も容易に理解できます。それは、どちらも、気孔の多さが関わっているのです。気孔の差とは、陶器と磁器の一番の差でもあるのです。

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