陶器製造工程での不良(鉄粉、ぼろ、切れ、釉はげ)の原因

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ページ番号1002174  更新日 2023年1月25日

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陶器製造工程での不良(鉄粉、ぼろ、切れ、釉はげ)の原因は?

質問:陶器の不良について 鉄粉、ボロ、キレ、釉ハゲについて製造工程でなんでなるよという理由を教えて下さい

お答え:

鉄粉は、鉄錆が焼成中に器物の上に落下した為に起こります。
器物の裏側にも鉄粉があるならば、落下とは考えずに、釉薬の中に鉄錆(あるいは鉄顔料等)が混入したと考える方が自然です。

また、素地の中に、鉄を粉(粒)として多く含む時に、薄い透明釉であれば、褐色の点が発色します。

断面を観察して、その褐色が釉薬層の表面か、素地と釉層のどちら側であるかを確かめる事が先ずすべきことです。素地の側にあれば、素地の粘土に鉄が混入した事になります。土練機のプロペラが削れていないか、どこかの行程で錆が入る事が無いか作業環境を確認します。
ぼろは、普通、煉瓦のくずや、棚板に敷いたアルミナの粉が降って来た場合に発生します。煉瓦の目地がぼろぼろ落ちて来てはいませんか?

切れは、乾燥切れ、素焼き時の切れ、冷め切れ、等、あります。
素焼き時には、なかなか亀裂が発見できずに本焼き後に切れを発見する事になります。

素焼き素地に赤インクを染みこませると亀裂がはっきり解ります。

冷め切れは、切れた所に段差がありません。

昇温切れは、形が定まる前に切れるので、段差ができます。また、切れた断面が変色していますが、冷め切れの断面は割った時の断面と同じ色をしています。

乾燥切れは、急激な乾燥に因って起こります。水分が無理矢理蒸発するからです。
充分乾燥せずに素焼きをしてはいけません。素焼きをする時、いきなり150℃以上に温度を上げない事です。
水は、100℃で蒸発します。付着水が完全に蒸発するまでゆっくり昇温して下さい。

窯の隙間から、湯気が出ている内は、温度をあげないようにします。また、500℃~600℃の間で結晶水が抜けます。この温度域もゆっくり昇温すべきです。

釉はげは、素地にほこりが付いていると起こりやすいので、エアーで細かい粉やほこりを取り除いておく必要があります。また、釉薬をすりすぎると(細かくし過ぎると)起こります。また、鉄釉(紅柄を入れた場合など)でも起こりやすいです。

厚く塗る釉薬は、特に要注意です。ポットミルで、混ぜるだけくらいにしておきましょう。

また、自然灰を使った釉を厚く塗ろうとした場合などは、アルカリ性(ぬるぬるしている)で、この解膠(かいこう)状態の釉薬では、釉薬を掛けて乾燥する段階で、剥離してしまっている場合があります。
にがりを打つか、それでも効かない場合は、酸で中和して、凝集状態の釉にしておく必要があります。普通の釉薬は、石灰を使っているので自然に凝集状態になっています。従って、にがりを打つ事は滅多にありませんが、多少調整する場合もあります。

ちなみに、解膠状態では、1日で、釉薬がバケツの下に固く沈殿してしまい分散するのに非常に大変です。

ふかふかでトローとした状態が凝集状態で、分散するのが簡単です。

自然灰を使う場合は注意が必要です。

以上一般論を書きました。磁器、陶器、釉薬の種類などにより原因は様々です。上記の事がすべてではありません。

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