高強度磁器と強化磁器の違い

ツイッターでツイート
フェイスブックでシェア
ラインでシェア

ページ番号1002183  更新日 2023年1月25日

印刷大きな文字で印刷

イラスト:高強度磁気 商標マーク

『高強度磁器』という食器の材質に関わる名称は、昭和62年に土岐市が給食用強化磁器食器のパンフレットを作製し公表した時に全国で初めて使った名称で、登録商標にも、『高強度磁器』とうたっているものです。(上左図参照)
以前より強化をはかった食器として『強化食器』という言い方は存在していましたが、それらと一線を画する高い強度性能を持った食器を強調するために『高強度磁器』と名付けられました。

現在、土岐市立陶磁器試験場が技術指導した給食用食器にのみ、『高強度磁器』の名称が使用され、土岐市以外の他社の製品は、『強化磁器*****』の名称で販売されている状況です。通常、従来の磁器原料成分にアルミナ添加をして、素材強度を増した磁器を『強化磁器』と称していますが、『高強度磁器』も、アルミナ添加の点で、『強化磁器』の一種と言えます。

しかし『高強度磁器』食器はただ単にアルミナ添加しただけの強化磁器ではありません。珪石とアルミナを完全置換して強度低下となる珪石粒子を排除しています。もちろん珪石を含む長石や陶石は使えません。純度の高い原料が必要になります。しかも、通常磁器では使用しない細かい篩いを通し粗粒子を徹底的に取り除きます。さらに、釉薬による内部応力付与による強化により、曲げ強度2300kgf/cm2(≒230MPa)(注1)という大量生産品としては極めて強度の高い磁器製食器を作り出していると言えるでしょう。また、玉縁など給食用食器に特化した最善の形状設計により、高い製品強度と軽量化を両立しています。

イラスト:玉縁君

ただ単に、アルミナを混ぜただけでは、1700kgf/cm2(≒170MPa)の曲げ強度が精一杯です。粒度管理がされなかったり、釉薬と素地との膨張差を考慮されずに製造された単なる強化では、1200kgf/cm2(≒120MPa)止まりです。普通の磁器の曲げ強度が約800kgf/cm2(≒80MPa)であるので、1200kgf/cm2(≒120MPa)以下の強度では少し心配になります。それでも強化磁器と呼ばれます。もし、軽量化の目的で薄く作るとそれは普通の食器より割れやすくなる場合さえあります。
(注1)最近曲げ強度の単位がKgf/cm2からMPa(メガパスカル)に変わりました。1Kgf/cm2=0.098MPaです。

そう考えると分厚く作った普通の磁器製食器も『強化磁器』であると言えるかもしれません。このように『強化磁器』の定義は広範です。それに対して、『高強度磁器』が、今のところ土岐市製の強化食器に限られていることはパイオニアとしてのアドバンテージと言えます。また、事実、高強度磁器の曲げ強度にまで到達した他社の強化磁器製品は見あたりません。

それだけに、『高強度磁器』の名に誇りを持ち、そのイメージをダウンさせないよう、品質管理に注意し最高のレベルを維持できるよう努める事が重要になります。

このページに関するお問い合わせ

産業文化部 陶磁器試験場・セラテクノ土岐
〒509-5403 土岐市肥田町肥田287-3
電話:0572-59-8312 ファクス:0572-59-1767
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。

お問い合わせやオンライン申請には「LoGoフォーム」を利用しています。
LoGoフォームのメンテナンス情報などは以下をご参照ください。
オンラインフォーム「LoGoフォーム」のご案内