織部釉の膜を取る方法

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ページ番号1002177  更新日 2023年1月25日

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織部釉の膜について

質問

どうしても織部のきれいなガラス質の緑が出ません。

いつも金属的な不透明の緑で表面に膜が張ったような感じになってしまいます。

釉薬は市販の織部釉。土は信楽の白。窯は電気窯です。

膜をとってきれいな深い透明感のある緑を出せるコツがあったら教えてください。

答え

ポイントは3つです

1、膜だけなら、酸で拭けばきれいになります。
陶芸家は、塩酸(12規定の濃い試薬)を水で数倍に薄めた液で拭くか、酸液の中に浸けておいて、その後、数時間水を出しっぱなしにして洗います。

少量で小さな作品の場合は、食酢とか、トイレ掃除のサンポール等をつかうか、水洗いの手間を考えると、クエン酸を溶かした水溶液のなかに浸けておく(あるいはふき取る)と、臭いも、たとえ口に入っても心配ありません。

膜の成分は、銅の蒸気が、表面に付着する事によるものです。

2、温度(熱量)の確認をお願いします。織部釉の焼成温度は1230~1280度のはずです。温度だけではなしに、熱量つまり、最高温度での保持時間が問題です。少なくとも1時間は保持してください。

昔は、ゼーゲル錐という、三角のとんがり帽子みたいなセラミックスの倒れ具合で温度と熱量をはかって、ゼーゲル~度で焼いたと言ったものです。

いまでは、リードハンマー社独立行政法人のメジャーリングという商品等があって、直径を測って、温度を測定します。(焼成後の確認になりますが・・一個200円)

熱電対の温度測定装置は、当てにならない時があります。50度くらいは、違うことがしばしばです。一度、焼成温度の確認をしてください。

焼き足りない場合はガラスになりません。また、必要以上に温度を上げすぎても、素地の組成が釉に混じり込んで釉が濁ったり発泡したりすることがあります。

釉の表面を見るだけでなく、割って断面を見てください。透明か、濁っているか、結晶がでているのか、貫入があるのかないのか(ある場合はガラスになっていると思われます。)

3、釉の組成が、透明釉の範囲を逸脱している場合。
釉薬の調合をかえるしかありません。

織部釉は、透明釉に、銅が3%前後入っている釉薬です。その透明釉が、マット釉、だったり、乳濁釉だったりしたら、ガラス質になるはずがありません。

それは、分析してみないと判らないので、お買いになったお店でお聞きください。あるいは、他の、釉薬を試してみるしか方法がありません。

当セラテクノ土岐では、土曜、日曜日もオープンしております。ちょうど、セラテクノ土岐の中央ロビーの右脇に、織部釉の実験サンプルをたくさん並べて調合と焼成の違いによる緑色の変化の例を展示しています。お暇でしたら、起こしください。

このページに関するお問い合わせ

産業文化部 陶磁器試験場・セラテクノ土岐
〒509-5403 土岐市肥田町肥田287-3
電話:0572-59-8312 ファクス:0572-59-1767
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