陶器の取り扱い方法

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ページ番号1002182  更新日 2023年1月25日

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質問:陶器を使い始めに煮るのは陶器は吸水性があるとか。ものにもよりますが確かに水が底に染みてくるのがあります。
そのためか、使い始めにこうするとよい、といういろんな説明を見聞きします。
例えば、水から煮ると土が締まる→本当?水は100℃までしか上がらないのに締まる?

お答え:明らかに間違いです。焼いた土はもう締まりません。
水が素地の隙間に入り込むだけです。

質問:
塩湯で煮る→試しに釉薬のかかった柔らかい感じの陶器を濃いめの食塩水に入れて10分沸騰させそのまま冷まし、洗って乾かして水を入れた。→やっぱり底に水が染みた。
なぜ「塩湯」が持ち出されたのか疑問。この説明は以前百貨店協会が出した教
育マニュアルにも書いてあって、最近も売り場でこの説明を聞いた。

お答え:大間違いです。ひどいマニュアルがあったものです!

塩水が素地の中に入りこんで、乾かすと結晶になります。そこに、お湯を入れると、ただのお湯が塩湯になってしまうかもしれません。水に溶けてしまう結晶(塩化ナトリウム)を目地に詰めても水漏れ対策にはなりません。

質問:
米の研ぎ汁で煮ると隙間にぬかがしみ込んで水や汚れがしみ込みにくくなる。
→デンプン糊の役割でしょうが、ぬかの臭いが付きそう。実際、あとの乾燥が不十分だったのか、かえって臭いがついてしまったのを見たことがある。確かに底に水は染みなくなったようですが。

お答え:正解です。普通、このように答えます。

お茶という手もあります。茶渋が目地にしみ込みます。
陶器(青磁釉など)の貫入(普通にゅうと言う)つまり表面のヒビがある焼きものでは、黒い茶渋がにゅうに入り込んで、それが、風流として面白がられていることもあります。時間がかかるかもしれませんが・・

質問:
一握りの米を入れて煮る→こんなもったいないことはしたくないです。

沸騰させる時間も説明によってさまざま。10分から30分くらいまで。そのあと冷ますのも、冷めるまでとか、一晩とか。

わたしは上記で使った器(5客セット)を実験に使うことに決めて、以下のことをしてみました。

ご飯を炊いてご飯粒をこすり取ったあとの鍋(テフロン加工していないので糊状のものが薄く鍋にこびり付いている状態)に水を張り、ごく薄い糊液を作ってここに陶器を入れて火にかけ、沸騰してから弱火で10分。火を消してから常温になるまで放置。これで水は染みてこなくなりました。

お答え:米のとぎ汁と同じ原理です。
煮沸するのは、強制的に(短時間に)素地の中に水(目詰まり物質を含む水)をしみ込ませるための手段です。

質問:
このごろは米アレルギーの人もいるので、小麦粉でも同様にやってみました。これも染みてこなくなりました。ただし、白い器に少し色が付きました。上記のご飯かすでは変化なしでした。なぜでしょう?

お答え:目詰まり物質が小麦粉になったというわけです。
色がついたのは、小麦粉の性質なのでしょう。

質問:
ともかく、一般家庭でできる最も安上がりで安全で効率的な陶器の吸水を防ぐ方法を教えてください。
どこか暇な家政科の研究テーマにでもなっていないものかと思います。
それに、食器は陶器だろうが磁器だろうがガラスだろうがすべて煮てから使うと割れにくいと言う販売員もいて、何を根拠に言ってるのかいくら聞いても理屈はわかりません。そのあたりも教えてください。

お答え:全くのでたらめです。煮ても強くなることはありません。

質問:
陶器を煮るのに使ったアルミ鍋が黒ずみました。なぜでしょう。レトルトカレーをあたためたときも同じようになります。陶器に含まれている金属?がアルミと反応するのでしょうか?アルミ鍋の黒変についてはネットで検索しても、明快な説明が見当たりません。ご存じでしたらこれもぜひ教えてください。

お答え:

アルミにできる黒ずみは、酸化皮膜が傷ついてはがれてしまいアルミ素地が表面に出てしまったことが原因です。露呈されたアルミ素地が水分と反応して水酸化アルミを形成し、それが水分中のミネラル(カルシウムや銅など)と複雑な化学反応を繰り返すことで、黒く変色して見えるようになります。これを黒色化反応と呼びます。水酸化アルミは体に無害な成分でそのままにしてても問題ありません。

..とあるホームページに書いてありました。
http://www.seikatu-cb.com/souji/arumina.html

酸化アルミ皮膜のせいらしい。
少なくとも、陶器のせいではありません。
陶磁器の絵柄に、金属酸化物の顔料が使ってありますが、金属が溶け出てくる事は通常はありません。極まれに、鉛、カドミ、銅等が溶出する場合がありますが、そういう食器は食品衛生法に触れます。基準があって、市販される陶磁器は基準以下のはずです。たとえ、鉛カドミが溶出しても、アルミと反応するとは思われません。

どうしても水漏れを防ぎたい場合は、食器用無臭のシリコンがあると聞きました。
しかし、何となく気持ちのいいものではありません。

本来、陶器は、水漏れしないように釉薬が掛けてあります。(磁器なら、釉薬なしでもしみませんが・・)
僅かな隙間から、少しずつ水がしみ込むのは仕方ないですが、食事の間くらいでは、漏れないのが普通です。そして、良く乾燥して使用することです。

臭いの話がありましたが、たぶん、でんぷんの臭いでなく、水が腐るからだと思います。しっかり乾燥すれば、臭いはしないはずです。

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